「やりたいことを書き出してみましょう」「あなたのWILLは何ですか?」と聞かれて、頭が止まってしまった経験がある人もいるでしょう。WILLが出てこないと、自分には情熱がないのではと不安になるかもしれません。でも、それは本当に意志や考えの浅さが原因なのでしょうか。
この記事では、WILLが出てこない人に向けて、「やりたいこと」ではなく「嫌だったこと」から逆算して考える方法を紹介します。ポジティブな言葉が浮かばなくても、自分の内側にはすでにヒントがありますので、見つけ方を知りたい人はぜひ最後までお読みください。
WILLが出てこない人に共通する思考
WILLが出てこない人には、いくつか共通しやすい思考のパターンがあります。それは「何も考えていない」からではなく、考え方の入口が合っていないだけのことがほとんどです。
まず多いのが、「やりたいこと」から考えようとすること。やりたいことは、気分や環境によって変わりやすく、言葉にしようとすると途端に抽象的になります。その結果、「本当にこれでいいのか」「もっと立派なものがあるはず」と、正解探しに入ってしまいます。
次に、「評価されそうなWILL」を無意識に探してしまうケースです。仕事やキャリアの文脈では、どうしても「筋が通っているか」「前向きか」「説明しやすいか」を気にしてしまい、本音よりも“使えそうな答え”を作ろうとしてしまいます。すると、どの言葉もしっくりこなくなります。
そしてもう一つが、感情よりも言葉を先に探してしまうことです。WILLを文章として完成させようとするあまり、「どう言えばいいか」ばかり考え、そもそも自分が何に引っかかってきたのかを振り返る余白がなくなってしまいます。WILLが出てこないのは、考えすぎて、入り口を間違えているだけかもしれません。
「嫌だったこと」から考えるとWILLが見えてくる理由
WILLを「やりたいこと」から見つけようとすると詰まりやすい一方で、「嫌だったこと」は驚くほど具体的に思い出せる人が多いです。これは、人の脳が快よりも不快を強く記憶する性質を持っているからです。
たとえば、
・無理に同調する空気がしんどかった
・納得できないルールに従わされていた
・評価の基準が曖昧で消耗した
・意見を言う余地がなかった
こうした体験は、感情とセットで記憶に残っています。そして重要なのは、嫌だった経験の裏側には、必ず「本当はこうしたかった」が隠れているという点です。
・「裁量がなかったのが嫌だった」なら、本当は自分で考えて決めたかった
・「雑に扱われたのが嫌だった」なら、丁寧に向き合われたかった
・「意味のない作業が苦痛だった」なら、納得感を大事にしたかった
このように、嫌だったことはWILLの“逆側の輪郭”をはっきりさせてくれます。無理に前向きな言葉を作らなくても、過去の違和感を丁寧にたどることで、自分が何を大切にしているかが自然と浮かび上がってきますよ。
「嫌だったこと」逆算法|3ステップでWILLを言語化する
ここからは、実際にWILLを見つけるためのシンプルな3ステップを紹介します。紙に書き出しながら進めるのがおすすめです。
ステップ① 強く残っている「嫌だった場面」を一つ選ぶ
大きな失敗や劇的な出来事である必要はありません。「地味だけど、何度も思い出す」「説明しづらいけど引っかかる」そんな場面で十分です。
ステップ② 何が一番しんどかったのかを具体化する
「嫌だった」で終わらせず、
・何を我慢していたのか
・どんな扱いがつらかったのか
・どんな感情が湧いていたのか
を掘り下げます。ここではきれいな言葉にしなくて大丈夫です。
ステップ③ その逆を仮のWILLとして置いてみる
しんどさの反対側にあるものを、そのまま言葉にします。
「○○したくなかった」→「○○を大切にしたい」
この段階では完成形を目指さず、「たぶんこれが近い」という仮置きで大丈夫です。嫌だったことを丁寧に翻訳していくと、結果としてWILLらしき言葉が残ります。次の章では、この“仮のWILL”をどう扱えばいいのか、しっくりこなくても前に進める考え方を整理していきます。
WILLは譲れないことでもいい
WILLというと、「これがやりたい」「将来こうなりたい」といった、明確な目標を思い浮かべる人が多いかもしれません。ですが、逆算法で見えてくるWILLは、必ずしも行動目標である必要はありません。
むしろ多いのは、
・「もう二度と、ああいう扱いはされたくない」
・「納得できないまま進むのは嫌だ」
・「自分の意見が無視される環境では働きたくない」
といった、これだけは譲れない前提条件です。これも立派なWILLであり、人生やキャリアの選択では、この前提条件のほうが、実は長く機能します。やりたいことは変わっても、「譲れない前提」は変わりにくいからです。まずは、自分が譲れない価値観を認識することから始めましょう。
譲れない前提を言語化できるようになると、「自分はこれでいい」という感覚も育ちやすくなります。この感覚は、自己効力感とも深く関係しています。自己効力感を高める方法が気になる人は、ぜひこちらの記事で確認してみてくださいね。
まとめ
WILLが出てこないとき、多くの人は「やりたいことが分からない自分」を責めてしまいます。でも実際は、やりたいことがないのではなく、入口を間違えているだけかもしれません。
・「嫌だったこと」は感情と一緒に記憶されている
・嫌だった経験の裏側には、必ず大切にしたかった価値がある
・WILLは完成させなくていい。仮置きで十分
まずは、これまでの人生で感じてきた違和感やしんどさを、丁寧に言葉にすること。それが、あなたのWILLを見つける一番現実的で、確かな方法です。「嫌だったこと」を否定せずに拾い直すところから、ぜひ始めてみてください。

